噂の年下男
蒼はビッグキッカーに入り、軽々とトゥイークを決める。
高さもばっちりだ。
そんな蒼を見て、
「紅の弟、スノーボード上手なんだね」
たーくんが言う。
嫌な予感満載だ。
自分で蒔いた種だけど、これ以上蒼に関わって欲しくない。
あたしはたーくんの腕にしがみつき、
「たーくんのほうがスキー、上手だよ?」
甘えた声で言う。
たーくんは赤面し、サングラスの奥の瞳はとろーんとする。
やっぱり、たーくんはあたしの言いなりだ。
あとは早々と切り上げ、帰るに限る!
「たーくん……あたし……頭痛いの」
「だだ大丈夫?紅?」
たーくんは心配している。
あたしの頭痛が仮病なんて、少しも思っていないだろう。
さぁ、これでたーくんを連行して帰ろう。
そして、またいつも通りの毎日を送ろう。
そう思ったが……