噂の年下男









馬鹿蒼は去り際に、



「ねーちゃん、またね」



あたしに手を振って逃げていった。

最後の最後まであたしの恋を痛めつけるらしい。





「碧!?マジで?」



「超カッコイイ!」




悲鳴が上がる中、あたしとたーくんは突っ立っていた。





そして……



「べ……紅」



たーくんが震える声であたしに聞く。




「今の……弟なの?」




こくんと頷くあたし。

ここへ来て、嘘をつけるほど器用ではない。

すると、たーくんは泣きそうな顔をした。





「僕のこと……遊びだったんだね」



「そんなことない!!」




あたしは声を荒げていた。




こうやって、たーくんもあたしの側から離れていくんだ!

分かっていたけど、すごく切ない。








「だって、そうとしか思えないでしょ?

あんなカッコイイ弟がいるのに……

僕なんて……」






あたしの恋は、雪崩のように崩れ去った。




< 33 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop