噂の年下男
こんな重く沈んだ気分を紛らわせるため、テレビをつける。
楽しいお笑い番組でも見ようと思ったのに……
「こんばんは、Fです」
嫌というほど聞いた声が聞こえ、明るくなった液晶には彼らが現れた。
あたしのよく知っている四人。
だけど、テレビの中の彼らは少し違う。
クールで、どことなく冷たくて、カリスマオーラ満載で、お馬鹿なんて絶対しない。
日本中が焦がれる、カリスマバンドFだった。
黒いスーツに洒落た柄のシャツ。
ブレスレットやピアス。
それらに身を包んだ彼らを、悔しいけどかっこいいと思ってしまう。
「俺たちのアルバム、『white』がリリースされたっつーことで……」
奴は足を組み、膝の上で手を合わせてあたしを睨む。
何カッコつけてんだ。