噂の年下男
「今日はこのアルバムの代表曲、『white』。
作詞作曲はもちろん艶(エン)。
……すげぇよな、艶って」
奴は気取って言う。
そして……
艶こと優弥ちゃんが口を開いた。
「碧、どういうつもりだ?
俺を持ち上げて」
「持ち上げてねぇよ。
いつも言ってんだろ、艶はすげぇって」
奴は相変わらずすまして言う。
普段のナヨナヨした蒼からは、考えられない言動だ。
そして、こんな蒼に不覚にも釘付けになってしまう。
それは蒼だけじゃない……優弥ちゃんにも。
「……まあいい」
優弥ちゃんは鼻で笑う。