噂の年下男
「今回のアルバムも、自信作だからな。
……では、『white』、どうぞ」
すまして手のひらを向ける優弥ちゃん。
すぐに暗い画面に切り替わる。
濃紺の幻想的な光に包まれて、彼らはいた。
胸に響くドラムに、どっしりとしたベース。
切ないギターに、凛と響く歌声。
蒼のくせに……
あいつらのくせに……
あたしは思わず聴き入っていた。
彼らが人気なのは、理由がある。
悔しいけど、蒼はただのイケメンじゃない。
Fの曲は、一回聴くだけで、人々を虜にさせるんだ。