噂の年下男
怒りの暴君と化したあたしは凄かった。
「たーくんに紅ちゃんはもったいないよ?」
「そうっすよ!
紅さんなら、もっといい男いますよ?」
あたしの怒りを鎮めようと必死な、慎ちゃんと賢君を睨む。
ありったけの殺意を込めて。
人を殺しそうなほどのあたしの殺気にやられて、二人は口を噤んだ。
そんな二人に言ってやる。
「慎ちゃんは両思い叶ったんでしょ?
賢君もイケメンじゃん!」
なんとも、当てつけのような文句。
それで二人は黙ってしまって。
代わりに、
「ねーちゃん……訳分かんない」
ぽつりと言った蒼の頰を、思いっきりつねった。
その芸術的ともいえる蒼の顔が、醜く歪んだ。
蒼のせいだ!
……みんなのせいだ!!
今度こそ上手くいくと思ったのに!
従順なたーくんは、あたしを癒す理想の彼氏だったのに!!