噂の年下男






それでも優弥ちゃんは粘る。

あり得ない粘着質だ。





「俺は蒼の友達です。

蒼のことで紅さんから離れることは、絶対ねぇ」



「当然でしょ?」





ものは言い様。

だって優弥ちゃんが蒼を有名にしたんだから。

別の言い方をすれば、優弥ちゃんのせいで蒼が有名になって、あたしはさらに男運がなくなった。





「だから紅さんは、蒼のことを悪く思わないでやってください」



「え……」




予想外の言葉に、優弥ちゃんを凝視した。

そして、不覚にもドキンとした。

目の前にいるのが、派手な服を着て変なサングラスをかけた優弥ちゃんじゃなかったら、恋に落ちていたかもしれないほどに。

優弥ちゃんの口元は、少し笑っていた。




「喧嘩ばかりしてるけど、俺はアイツのことが大好きなんです」





蒼のことを散々貶してきた。

そして、散々いじめてきた。

だけど、優弥ちゃんの言葉が嬉しかった。

いい友達を持った蒼が、すごく羨ましい。



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