噂の年下男





彼女は頰を染めたまま、あたしに教えてくれた。




「ギターが上手いのはもちろん、Fの曲は全て艶が作っています。

それに、最近はその他のアーティストのプロデュースもしていて」




へぇ……




「艶がいたからFは有名になったと言っても、過言ではありません!」





そうなんだ。

優弥、そんなにカリスマなんだ。

あたし、ただの趣味の悪いガキだとしか思っていなかったよ。




だけど……

確かに、優弥と関わりだして、蒼は変わった。

昔は下手のヘタレだったのが、今じゃカッコイイ碧だ。





「艶、すごいんですね……」



彼女にそう言った時、



「戸崎さん!!」



先輩に呼ばれ、ビクッとする。

あたしとしたことが、いつまででも無駄話していて!



あたしは女性に頭を下げ、先輩の元へと急ぐ。

駄目だ!

好きでもないのに、頭の中は優弥のことでいっぱいだ。




< 59 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop