噂の年下男
彼女は頰を染めたまま、あたしに教えてくれた。
「ギターが上手いのはもちろん、Fの曲は全て艶が作っています。
それに、最近はその他のアーティストのプロデュースもしていて」
へぇ……
「艶がいたからFは有名になったと言っても、過言ではありません!」
そうなんだ。
優弥、そんなにカリスマなんだ。
あたし、ただの趣味の悪いガキだとしか思っていなかったよ。
だけど……
確かに、優弥と関わりだして、蒼は変わった。
昔は下手のヘタレだったのが、今じゃカッコイイ碧だ。
「艶、すごいんですね……」
彼女にそう言った時、
「戸崎さん!!」
先輩に呼ばれ、ビクッとする。
あたしとしたことが、いつまででも無駄話していて!
あたしは女性に頭を下げ、先輩の元へと急ぐ。
駄目だ!
好きでもないのに、頭の中は優弥のことでいっぱいだ。