噂の年下男
なのに、
「俺も努力してるからな」
奴は言う。
「アンタが努力してCAになったのと同じで、俺も努力してトップになってやる」
疲れているのかな。
なんでこんなにキュンとするのだろう。
言われていることは、すごく腹が立つことばかりなのに。
例えば……
「アンタ!?」
あたしはドスの効いた声で聞き返してやる。
すると、
「べっ……紅様」
優弥は言う。
快感だ、それでこそあたしの男。
それなのに、
「……つーのは、どうでもいい。
早く心から俺のものになれよ」
その言葉を聞いて、とうとう電話を切ってやった。
あーあ、やっぱり優弥は駄目だ。
あたしの理想の彼氏にはなれない。
ここでスパッとふるのが一番だろうけど……
もうちょっと付き合ってやろうかな。
あたしはドMでも何でもないけど、何だか楽しかった、優弥と話が出来て。
すごくすごく楽しくない内容だったにも関わらず。