噂の年下男
優弥は立ち上がり、閉まっていた扉を開く。
すると、扉の向こうにも部屋があって。
……シンプルなリビングとは、全然様子が違っていた。
パソコンに、キーボードに、そして、ギターが数本。
所狭しスピーカーやアンプもたくさん置いてあって、配線まみれだ。
「このマンションは、防音じゃねぇ」
優弥は相変わらず淡々と話す。
「だから、思いっきりやれねぇけど」
そう言って奴は慣れた手つきで機械をいじる。
そして、赤色……ではなく、近くにあった黒色のギターを肩にかけた。
その瞬間、何かが変わった。
よく分からないが、あたしを惹きつけて離さないオーラみたいなものがあって、優弥から目を逸らさない。
こんな時こそ、優弥を見下してやりたいのに。