噂の年下男
優弥は電源を切り、ギターをスタンドに立てかけた。
もう弾いてくれる気はないらしい。
もっと聴きたかったのに。なんてことは、死んでも言えない。
「でも、あいつをボーカルにして良かった。
あいつ、ボーカルのセンスもあるし。
……蒼じゃなきゃ駄目だった」
奴はそう言って、部屋を出るように促す。
仕方なく部屋を出たあたしに、奴は缶ビールを渡す。
……缶ビールって何?
もっとお洒落な飲み物はないわけ?
優弥を睨んだが、奴はビクともしない。
そして、まだ話を続ける。
「俺が好き勝手して、奴らには迷惑をかけている。
賢一は深く考えねぇけど、慎吾や蒼はナイーブだからな、精神的にも弱ったりする」