噂の年下男
デート?
冗談じゃない。
こんな人とデートなんてしたら、目立つの必至だ。
優弥はガラの悪いチンピラと思われて、あたしはガラの悪い彼女と思われるのか。
そんなの無理。
「嫌よ」
あたしは再び優弥を睨む。
すると、奴は面白そうに顔を歪める。
なに、その余裕な表情。
何となく気付いていたけど、優弥は鉄のハートを持つらしい。
あたしが好きじゃないと言っても、デートなんて嫌と言っても、全く怯まない。
そんな優弥に言ってやる。
「あんた派手だから、死んでも嫌。
もしあんたが普通の服を着てくれるなら、デートしてあげてもいいけど?」
あたしの言葉に、
「ほぉ……」
優弥は半笑いで答える。
そして、
「地味な格好すればいいんだろ」
そう言う優弥に、返す言葉が見つからなかった。