強引社長に捕獲されました!?
「あのっ、歩けるから下ろして……」
「……」
「透さん……?」
怒ってる……。
やっぱり、私が失敗したからだよね。
透さんは私を抱えたまま、ホテルの上層階のスイートルームに着いても、ずっと無言で眉を寄せて恐い顔をしていた。
「ごめんなさい」
「え?」
「……透さんに恥をかかせてしまって、結局は迷惑をかけて」
「……」
「あの……、本当にごめんなさい」
泣いちゃだめ、私が悪いんだから。
グスンと鼻をすすりこらえていると、透さんはまた溜め息をついた。
リビングルームを抜けたベッドルームの、大きなベッドの端に私を下ろすと、彼はそっと涙を拭う。
「なんで俺をすぐ呼ばないの?」
「え?」
「なんで頼らないの?」
「透さんの、邪魔したくないから……」
「なんでそこまで我慢するの?」
「……それは」
「五千万円のせい?」
お金なんて、関係ない。
恩を感じてはいるけれど、私が耐えようと思ったのは。
それはきっと、好きだから……。
でも、そんなこと言えないよ。
顔を背けると透さんはすぐに私の顎を掬い上げた。
その手で両頬が包まれると、たちまち目が離せなくなる。
瞳にたくさんの涙を溜めて、ただ見つめ上げた。
透さんは悲しそうに瞳を揺らす。
「ごめんな」
「違っ、透さんが謝ることじゃ……」
「助けるって言ったのに、つらい思いさせて悪かった」
「それは私が至らないだけで……!」
「恩着せといて俺を信じろなんて、無理な話だよな」
「……そんなこと」
「ごめん」
透さんは、たくさんの人の上に立つ人なのに。
……私なんかに謝らないで。
そんな寂しそうな顔しないで。
きっと自分のせいで、私が苦しんでいると思ってるんだ。
違うのに……。
「私が悪いんです!」
「ゆずはなにも……」
「違うの!私が迷惑かけたくないと思ったのっ!」
「だから……」
「だって、好きになっちゃったんだもん!」
「……え?」
「私、透さんが好きみたいっ!だから足を引っ張りたくなかったのっ!」
「……っ」
「うわーん!もうバラバラにして売り捌いてくださいっ」
恥ずかしくて透さんの顔が見れないよ。
子供みたいに騒いで大泣きして、きっと呆れてる。
五千万円、無駄にしたって思ってる。
「……ゆず」
「貧乏のくせにごめんなさいっ!うえーん」
「ゆずっ」
「んっ!?」
な、にーー?
柔らかい、なにかが、唇に。
あったかくて、ほろ苦い、あなたが。
「ーーは、ぁっ」
長く深く囚われて、解放されたかと思うとまたのみ込まれていく。
息が途切れてクラクラしていると、押し倒されるようにベッドへ沈み込んだ。
「はぁ、っなん、で…………」
私が聞いても彼はなにも答えない。
不意に私に影を落とすと、濡れた胸もとに唇を寄せた。
「っ!?」
「ところで、佐竹と随分仲良くなったんだね?」
「あっ、……はい」
「俺がいない間、なに話してたの?」
「……秘密です」
「え?」
「……内緒の、話」
「鈴でも着けときゃ良かったな」
「ひゃっ!?」
首筋を舌が這い、慌てて押し返す。
「抵抗するならちゃんとしろ」
「なっ、なん?」
「嫌がることはしないって言ったけど……」
私の手首を捕まえて、透さんがニヤリと笑った。
「嫌がってないことはするからね?」
「あっ、ーーっ」
抵抗なんて、できないよ。
私はされるがままに、あなたに溺れてしまう。
どうして私なの?
なにを考えているの?
ーー知りたい。
もっと、あなたを知りたい。
ねぇ?
私のこと、どう思っていますか?
ぎこちない恋が動き出した。
「……」
「透さん……?」
怒ってる……。
やっぱり、私が失敗したからだよね。
透さんは私を抱えたまま、ホテルの上層階のスイートルームに着いても、ずっと無言で眉を寄せて恐い顔をしていた。
「ごめんなさい」
「え?」
「……透さんに恥をかかせてしまって、結局は迷惑をかけて」
「……」
「あの……、本当にごめんなさい」
泣いちゃだめ、私が悪いんだから。
グスンと鼻をすすりこらえていると、透さんはまた溜め息をついた。
リビングルームを抜けたベッドルームの、大きなベッドの端に私を下ろすと、彼はそっと涙を拭う。
「なんで俺をすぐ呼ばないの?」
「え?」
「なんで頼らないの?」
「透さんの、邪魔したくないから……」
「なんでそこまで我慢するの?」
「……それは」
「五千万円のせい?」
お金なんて、関係ない。
恩を感じてはいるけれど、私が耐えようと思ったのは。
それはきっと、好きだから……。
でも、そんなこと言えないよ。
顔を背けると透さんはすぐに私の顎を掬い上げた。
その手で両頬が包まれると、たちまち目が離せなくなる。
瞳にたくさんの涙を溜めて、ただ見つめ上げた。
透さんは悲しそうに瞳を揺らす。
「ごめんな」
「違っ、透さんが謝ることじゃ……」
「助けるって言ったのに、つらい思いさせて悪かった」
「それは私が至らないだけで……!」
「恩着せといて俺を信じろなんて、無理な話だよな」
「……そんなこと」
「ごめん」
透さんは、たくさんの人の上に立つ人なのに。
……私なんかに謝らないで。
そんな寂しそうな顔しないで。
きっと自分のせいで、私が苦しんでいると思ってるんだ。
違うのに……。
「私が悪いんです!」
「ゆずはなにも……」
「違うの!私が迷惑かけたくないと思ったのっ!」
「だから……」
「だって、好きになっちゃったんだもん!」
「……え?」
「私、透さんが好きみたいっ!だから足を引っ張りたくなかったのっ!」
「……っ」
「うわーん!もうバラバラにして売り捌いてくださいっ」
恥ずかしくて透さんの顔が見れないよ。
子供みたいに騒いで大泣きして、きっと呆れてる。
五千万円、無駄にしたって思ってる。
「……ゆず」
「貧乏のくせにごめんなさいっ!うえーん」
「ゆずっ」
「んっ!?」
な、にーー?
柔らかい、なにかが、唇に。
あったかくて、ほろ苦い、あなたが。
「ーーは、ぁっ」
長く深く囚われて、解放されたかと思うとまたのみ込まれていく。
息が途切れてクラクラしていると、押し倒されるようにベッドへ沈み込んだ。
「はぁ、っなん、で…………」
私が聞いても彼はなにも答えない。
不意に私に影を落とすと、濡れた胸もとに唇を寄せた。
「っ!?」
「ところで、佐竹と随分仲良くなったんだね?」
「あっ、……はい」
「俺がいない間、なに話してたの?」
「……秘密です」
「え?」
「……内緒の、話」
「鈴でも着けときゃ良かったな」
「ひゃっ!?」
首筋を舌が這い、慌てて押し返す。
「抵抗するならちゃんとしろ」
「なっ、なん?」
「嫌がることはしないって言ったけど……」
私の手首を捕まえて、透さんがニヤリと笑った。
「嫌がってないことはするからね?」
「あっ、ーーっ」
抵抗なんて、できないよ。
私はされるがままに、あなたに溺れてしまう。
どうして私なの?
なにを考えているの?
ーー知りたい。
もっと、あなたを知りたい。
ねぇ?
私のこと、どう思っていますか?
ぎこちない恋が動き出した。