強引社長に捕獲されました!?
子猫が懐いてくれました
借金まみれの貧乏生活から一転。
高級マンションの最上階に、イケメン社長と暮らし始めて一週間。
毎朝透さんより少し早く起きて、朝ご飯とお弁当を作り、いってらっしゃいと送り出す。
それからすることといえば、主に掃除、洗濯、買い物、料理。
それ以外まともにできませんが。
例えるならば住み込みの家政婦さん。
でもちょっと違う、気がする。
透さんは毎晩帰りが遅くて、私が先に寝てしまうのだけれど、ソファで寝ていても朝起きると必ずベッドにいるし。
その隣には必ず透さんがいるし。
なんかこれって……。
「ただいま」
「おかえりなさいっ、早かったんですね」
「ん。ちょっとね」
「社長、荷物はこちらで……?」
「うん。ありがとう」
「あっ、佐竹さん!こんばんは」
私が頭を下げると、佐竹さんは困ったような顔をして微笑んだ。
なにか大きな荷物を置いた後、リビングで明日の予定を透さんと話し込んでいる。
邪魔にならないよう離れていると、私の疑問を裏づける言葉を残し帰っていった。
「では奥様、おやすみなさい」
パーティーじゃないのに……。
「ゆず、今日の夕飯なにー?」
透さんは私の頭を優しく撫でて、それから上着を脱ぎ始める。
いかにも普通に、何事もなかったかのように。
「……透さん、聞きたいことがあるんですけど」
「あー、疲れた」
「私って」
「お腹すいたなぁー」
「……」
誤魔化してる?
でもいい加減、気になるよっ!
『奥様』の謎。
「透さんっ!」
「うわっ!?」
逃げようとする彼の前に立ち、身長差で届かない透さんの顔を、ネクタイを引っ張り引き寄せた。
「どうして佐竹さんは私のこと、奥様って呼ぶんですか?」
「……なるほど。お嬢様がいいのか?」
「はい!?」
「ごきげんうるわしゅう?とか言ってみたいんだろ」
「もうっ、私のことなんだと思って……!」
「子猫?」
透さんは真面目な顔でそう答え、人差し指を私の鼻にちょんとのせた。
……酷い。
私、都合のいい女ってやつ?
私の気持ちを知っているからって、利用してるんだ。
目の奥が熱くなってきて、唇を噛み締めながら睨むと透さんは唸り出した。
「あーっ、もう!人がせっかく気を遣って……」
「っ!?」
「誘ってんのか?」
透さんはネクタイを掴む私の手を取り顔を近づける。
驚いて身体を引くが、すかさず腰を抱き寄せられた。
「んんっ!?」
言葉を発する間もなく唇が塞がると、食べられてしまうんじゃないかと思うほど深く絡みあっていく。
煙草の香りをふわりと感じ、胸の奥がざわめいた。
「っ、やっ」
そんなキスされたら……っ。
あのパーティーの夜以来の熱いキスに、あの一夜が蘇る。
「っも、やめてくださいっ」
「なんで?」
「……同情されたって、惨めになるだけですっ」
「同情なんかしてないよ」
「じゃあ、透さんにとって私ってなんなんですか!?」
私がポロリと涙を溢すと、透さんは諦めたように肩を落とし、とんでもないことを口にした。
「戸籍上、妻」
「…………つま?」
妻、ってあれだよね。
「俺たち夫婦」
「ふっ……、なんの冗談……」
「冗談ではありません。俺にとって、君は嫁」
物凄いことを言っているのに、顔色一つ変えずに掌を返し、私を指差す強引社長。
返す言葉が見つからなかった。
高級マンションの最上階に、イケメン社長と暮らし始めて一週間。
毎朝透さんより少し早く起きて、朝ご飯とお弁当を作り、いってらっしゃいと送り出す。
それからすることといえば、主に掃除、洗濯、買い物、料理。
それ以外まともにできませんが。
例えるならば住み込みの家政婦さん。
でもちょっと違う、気がする。
透さんは毎晩帰りが遅くて、私が先に寝てしまうのだけれど、ソファで寝ていても朝起きると必ずベッドにいるし。
その隣には必ず透さんがいるし。
なんかこれって……。
「ただいま」
「おかえりなさいっ、早かったんですね」
「ん。ちょっとね」
「社長、荷物はこちらで……?」
「うん。ありがとう」
「あっ、佐竹さん!こんばんは」
私が頭を下げると、佐竹さんは困ったような顔をして微笑んだ。
なにか大きな荷物を置いた後、リビングで明日の予定を透さんと話し込んでいる。
邪魔にならないよう離れていると、私の疑問を裏づける言葉を残し帰っていった。
「では奥様、おやすみなさい」
パーティーじゃないのに……。
「ゆず、今日の夕飯なにー?」
透さんは私の頭を優しく撫でて、それから上着を脱ぎ始める。
いかにも普通に、何事もなかったかのように。
「……透さん、聞きたいことがあるんですけど」
「あー、疲れた」
「私って」
「お腹すいたなぁー」
「……」
誤魔化してる?
でもいい加減、気になるよっ!
『奥様』の謎。
「透さんっ!」
「うわっ!?」
逃げようとする彼の前に立ち、身長差で届かない透さんの顔を、ネクタイを引っ張り引き寄せた。
「どうして佐竹さんは私のこと、奥様って呼ぶんですか?」
「……なるほど。お嬢様がいいのか?」
「はい!?」
「ごきげんうるわしゅう?とか言ってみたいんだろ」
「もうっ、私のことなんだと思って……!」
「子猫?」
透さんは真面目な顔でそう答え、人差し指を私の鼻にちょんとのせた。
……酷い。
私、都合のいい女ってやつ?
私の気持ちを知っているからって、利用してるんだ。
目の奥が熱くなってきて、唇を噛み締めながら睨むと透さんは唸り出した。
「あーっ、もう!人がせっかく気を遣って……」
「っ!?」
「誘ってんのか?」
透さんはネクタイを掴む私の手を取り顔を近づける。
驚いて身体を引くが、すかさず腰を抱き寄せられた。
「んんっ!?」
言葉を発する間もなく唇が塞がると、食べられてしまうんじゃないかと思うほど深く絡みあっていく。
煙草の香りをふわりと感じ、胸の奥がざわめいた。
「っ、やっ」
そんなキスされたら……っ。
あのパーティーの夜以来の熱いキスに、あの一夜が蘇る。
「っも、やめてくださいっ」
「なんで?」
「……同情されたって、惨めになるだけですっ」
「同情なんかしてないよ」
「じゃあ、透さんにとって私ってなんなんですか!?」
私がポロリと涙を溢すと、透さんは諦めたように肩を落とし、とんでもないことを口にした。
「戸籍上、妻」
「…………つま?」
妻、ってあれだよね。
「俺たち夫婦」
「ふっ……、なんの冗談……」
「冗談ではありません。俺にとって、君は嫁」
物凄いことを言っているのに、顔色一つ変えずに掌を返し、私を指差す強引社長。
返す言葉が見つからなかった。