強引社長に捕獲されました!?
「お疲れ様です!」
「ゆずちゃん、元気だねー」
「はい店長!昇給お願いします!」
「あはは」
気持ちを切り替えて、居酒屋のアルバイトに入る。
落ち込んでいたって時間は過ぎるもの。
一生懸命働いて、お給料をもらって、……借金返済。
ーーーー頑張ろう。
私のアルバイト先の一つ。
ここの居酒屋さんは店長が凄く良くしてくれて、賄いまで出る貧乏にはありがたい仕事先。
深夜三時までで体力的には少しキツイけれど、こうなった以上できる限り働かなくちゃ。
「あの、店長。……シフト増やして欲しいんですけど」
「んーいいけど。ゆずちゃん、他にも掛け持ちしてるよね?大丈夫?」
「はいっ!絶対遅れたり休んだりしないので、お願いしますっ!!」
「……よし、良樹さんとの約束だ。明日から毎日頼むよ」
「ありがとうございます!」
良樹さん、つまり私のお父さんと店長は飲み友達だったらしく、身寄りのいない私を働かせてくれたり、なにかと気遣ってくれる。
ーー私には家族がいない。
父は私が小学生の頃、事業に失敗し多額の借金を作ってしまった。
父も母もがむしゃらに働いてなんとか返そうとしていた矢先、父は工事現場の事故に巻き込まれて死亡。
母はもともと身体が弱かったのに無理をして働いていたせいで、病に倒れ三年前に父のもとへ。
残った私は、借金取りに追われながら返済の日々。
よくこの境遇を、親の借金のせいでと憐れまれるけれど、私はそんなふうに思わない。
いつかきっと全部終わらせて、幸せになるんだ。
「えいえいおー!!」
午前七時。
冷たいシャワーを浴びて目を覚まし、そのまま清掃のアルバイトへ。
有名企業、桐谷コーポレーションという会社の、清掃員をしている。
料理や掃除は頭の悪い私の、唯一の得意分野。
「おはようございます」
社員の邪魔にならないように、ロビーやトイレを次々と綺麗にしていく。
自分と同じくらいの年齢の人がバリバリ働いているところを見ると、少し憧れたりもするけれど。
清掃員としてはかなり時給の良いアルバイト。
そしてなにより…………。
「おはよう」
「おっ、おはようございます」
「いつもありがとう」
社長がカッコイイのだ……!
いつも颯爽と現れ、清掃員にまで挨拶をしてくれる。
社長が通るだけで女性社員は羨望の眼差しを向け、耳にする噂も良い話ばかり。
私も一応女子の端くれなので、雲の上に住む社長に声をかけられるだけで、一日のやる気がアップする。
最初は社長だって知らなくて、裏庭で煙草のポイ捨てを目撃してつい叱咤してしまったのだけれど……。
正午。
お昼時で混雑する道をすり抜け、コンビニエンスストアのアルバイトに。
夜までみっちり働いて、また居酒屋のアルバイトへ行く。
時給を交渉してみると、五十円プラスにはなったのだが。
間に合わないのは目に見えていた。
とりあえず働けるだけ働いて、そのお金でお願いしてみよう。
私は一ヶ月間、死に物狂いで働いた。
「ゆずちゃん、元気だねー」
「はい店長!昇給お願いします!」
「あはは」
気持ちを切り替えて、居酒屋のアルバイトに入る。
落ち込んでいたって時間は過ぎるもの。
一生懸命働いて、お給料をもらって、……借金返済。
ーーーー頑張ろう。
私のアルバイト先の一つ。
ここの居酒屋さんは店長が凄く良くしてくれて、賄いまで出る貧乏にはありがたい仕事先。
深夜三時までで体力的には少しキツイけれど、こうなった以上できる限り働かなくちゃ。
「あの、店長。……シフト増やして欲しいんですけど」
「んーいいけど。ゆずちゃん、他にも掛け持ちしてるよね?大丈夫?」
「はいっ!絶対遅れたり休んだりしないので、お願いしますっ!!」
「……よし、良樹さんとの約束だ。明日から毎日頼むよ」
「ありがとうございます!」
良樹さん、つまり私のお父さんと店長は飲み友達だったらしく、身寄りのいない私を働かせてくれたり、なにかと気遣ってくれる。
ーー私には家族がいない。
父は私が小学生の頃、事業に失敗し多額の借金を作ってしまった。
父も母もがむしゃらに働いてなんとか返そうとしていた矢先、父は工事現場の事故に巻き込まれて死亡。
母はもともと身体が弱かったのに無理をして働いていたせいで、病に倒れ三年前に父のもとへ。
残った私は、借金取りに追われながら返済の日々。
よくこの境遇を、親の借金のせいでと憐れまれるけれど、私はそんなふうに思わない。
いつかきっと全部終わらせて、幸せになるんだ。
「えいえいおー!!」
午前七時。
冷たいシャワーを浴びて目を覚まし、そのまま清掃のアルバイトへ。
有名企業、桐谷コーポレーションという会社の、清掃員をしている。
料理や掃除は頭の悪い私の、唯一の得意分野。
「おはようございます」
社員の邪魔にならないように、ロビーやトイレを次々と綺麗にしていく。
自分と同じくらいの年齢の人がバリバリ働いているところを見ると、少し憧れたりもするけれど。
清掃員としてはかなり時給の良いアルバイト。
そしてなにより…………。
「おはよう」
「おっ、おはようございます」
「いつもありがとう」
社長がカッコイイのだ……!
いつも颯爽と現れ、清掃員にまで挨拶をしてくれる。
社長が通るだけで女性社員は羨望の眼差しを向け、耳にする噂も良い話ばかり。
私も一応女子の端くれなので、雲の上に住む社長に声をかけられるだけで、一日のやる気がアップする。
最初は社長だって知らなくて、裏庭で煙草のポイ捨てを目撃してつい叱咤してしまったのだけれど……。
正午。
お昼時で混雑する道をすり抜け、コンビニエンスストアのアルバイトに。
夜までみっちり働いて、また居酒屋のアルバイトへ行く。
時給を交渉してみると、五十円プラスにはなったのだが。
間に合わないのは目に見えていた。
とりあえず働けるだけ働いて、そのお金でお願いしてみよう。
私は一ヶ月間、死に物狂いで働いた。