強引社長に捕獲されました!?
ミルクと寝床と優しさを
ふわふわした雲の上にいるみたい。
いいにおい、お花の香り?
あぁ、なんか食べ物のにおいもする。
お腹すいたよぉー。
「……天国?」
いや、ここどこ?
私死んだのかな。
気づくと、私は大きくて綺麗なベッドの上にいた。
静かに起き上がると一瞬目が回る。
誰もいない、ここは多分寝室?
この部屋だけで私のボロアパートの三倍はありそうな広さ。
なにがどうなり、こうなった?
首を捻りながら、そろりとベッドから下り、おいしそうな匂いが漂ってくるドアのほうへ向かう。
目を覚ます前の、私が気を失う前の、記憶を手繰り寄せた。
借金取りに連れていかれそうになって。
社長が現れて私を買うって。
それでお金を、借金を払ったんだよね……?
うん、確かそうだった。
自問自答しながら事態を納得してドアを開けると、そこは大きな窓のある広いリビング。
高級そうなソファやモダンなインテリア、そして奥にはバーカウンター風のキッチンがあった。
「うわぁ~」
吸い寄せられるように窓にへばりつくと、眩い夜景が広がっていて、とても現実だとは思えない。
やっぱりここは雲の上?
ーーぐぅ。
「あ」
また鳴ってしまった。
お腹を押さえて良い匂いのするキッチンへ。
フラフラ歩いていくと、カウンターの上には見たこともないようなご馳走が並んでいた。
食べたい……。
ゴクッと唾をのんで考える。
誰のだろう?
勝手に食べたらまずいよね。
「っていうか、そもそもここは誰の家!?」
もしかして気を失っている間に、借金の形で売り飛ばされたのかな……。
でも社長が買うって言っていた記憶はある。
じゃ、つまり社長の家?
でもでも、それっておかしな話。
私なんかを買ったって、社長のプラスにはならないよ……。
まさか、いかがわしいことするとか?
いやでも社長ほどのイケメンならお相手くらいいっぱいいそうだし。
ーーはっ!!臓器売買!?
私、バラバラにされて売られちゃう?
そうだ、それなら五千万円以上になるかも……!?
どうしよう、怖い。
「う、うぇーん」
きっとこれは最後の晩餐なんだ……。
怖くて悲しくて、ご馳走を前に食べることもできなくて、私はポロポロと涙を溢した。
「うわーん」
「どうした?」
「えーん」
「おい?」
「う………、え?」
「なんでそんなに泣いてんの?」
え、え?
「社長……!!」
一歩、また一歩下がって、私はバランスを崩し床に尻餅をついた。
目の前にいるのは紛れもなく社長だ。
お花と石鹸の良い香りを振り撒きながら、肩にかけたタオルで汗を拭うお姿は、どう見てもお風呂上がりのご様子。
「大丈夫か?」
そう言って社長は私の頬に手を添える。
ポッと火照りそうなのを抑えて、私は後ずさり恐る恐る睨みつけた。
「……そんな警戒しなくても」
「臓器売買ですか?」
「……は?」
「うっ、えーん。バラバラにして売るんでしょー!?」
「……え?」
「うわーん」
しばらく顔を引きつらせて私を見ていた社長が、やがて深い溜め息をつく。
すると突然私を抱え上げた。
「きゃーっ!?下ろしてっ!」
いくらバタバタ暴れても、私はもとから背も低くて身体の大きな社長には敵わない。
廊下を通り、つきあたりのドアを開けた、その中に放り込まれた。
「きゃっ!?」
「いいか?……よく聞けよ」
社長の大きな掌が私の頬を包み込む。
私の顔が固定されると、ずいっと社長が近づいた。
「俺は、お前を売ったりしないし、嫌がることもしない」
「……え?」
「わかった?」
「……ほんと?」
「本当。シャワーでも浴びて少し落ち着け」
「……はい」
「着替え、置いとくから」
「……はい」
脱衣所に押し込まれた私は、茫然として言われるままにシャワーを浴びる。
「あったかい」
温かいお湯なんて久しぶり。
ベッドの上で感じた、お花の香りがする。
社長、私を売ったりしないって言ってた。
それならば、どうして助けてくれたんだろう。
謎ばかりだけれど、久々のお湯に心は少し和んでいた。
いいにおい、お花の香り?
あぁ、なんか食べ物のにおいもする。
お腹すいたよぉー。
「……天国?」
いや、ここどこ?
私死んだのかな。
気づくと、私は大きくて綺麗なベッドの上にいた。
静かに起き上がると一瞬目が回る。
誰もいない、ここは多分寝室?
この部屋だけで私のボロアパートの三倍はありそうな広さ。
なにがどうなり、こうなった?
首を捻りながら、そろりとベッドから下り、おいしそうな匂いが漂ってくるドアのほうへ向かう。
目を覚ます前の、私が気を失う前の、記憶を手繰り寄せた。
借金取りに連れていかれそうになって。
社長が現れて私を買うって。
それでお金を、借金を払ったんだよね……?
うん、確かそうだった。
自問自答しながら事態を納得してドアを開けると、そこは大きな窓のある広いリビング。
高級そうなソファやモダンなインテリア、そして奥にはバーカウンター風のキッチンがあった。
「うわぁ~」
吸い寄せられるように窓にへばりつくと、眩い夜景が広がっていて、とても現実だとは思えない。
やっぱりここは雲の上?
ーーぐぅ。
「あ」
また鳴ってしまった。
お腹を押さえて良い匂いのするキッチンへ。
フラフラ歩いていくと、カウンターの上には見たこともないようなご馳走が並んでいた。
食べたい……。
ゴクッと唾をのんで考える。
誰のだろう?
勝手に食べたらまずいよね。
「っていうか、そもそもここは誰の家!?」
もしかして気を失っている間に、借金の形で売り飛ばされたのかな……。
でも社長が買うって言っていた記憶はある。
じゃ、つまり社長の家?
でもでも、それっておかしな話。
私なんかを買ったって、社長のプラスにはならないよ……。
まさか、いかがわしいことするとか?
いやでも社長ほどのイケメンならお相手くらいいっぱいいそうだし。
ーーはっ!!臓器売買!?
私、バラバラにされて売られちゃう?
そうだ、それなら五千万円以上になるかも……!?
どうしよう、怖い。
「う、うぇーん」
きっとこれは最後の晩餐なんだ……。
怖くて悲しくて、ご馳走を前に食べることもできなくて、私はポロポロと涙を溢した。
「うわーん」
「どうした?」
「えーん」
「おい?」
「う………、え?」
「なんでそんなに泣いてんの?」
え、え?
「社長……!!」
一歩、また一歩下がって、私はバランスを崩し床に尻餅をついた。
目の前にいるのは紛れもなく社長だ。
お花と石鹸の良い香りを振り撒きながら、肩にかけたタオルで汗を拭うお姿は、どう見てもお風呂上がりのご様子。
「大丈夫か?」
そう言って社長は私の頬に手を添える。
ポッと火照りそうなのを抑えて、私は後ずさり恐る恐る睨みつけた。
「……そんな警戒しなくても」
「臓器売買ですか?」
「……は?」
「うっ、えーん。バラバラにして売るんでしょー!?」
「……え?」
「うわーん」
しばらく顔を引きつらせて私を見ていた社長が、やがて深い溜め息をつく。
すると突然私を抱え上げた。
「きゃーっ!?下ろしてっ!」
いくらバタバタ暴れても、私はもとから背も低くて身体の大きな社長には敵わない。
廊下を通り、つきあたりのドアを開けた、その中に放り込まれた。
「きゃっ!?」
「いいか?……よく聞けよ」
社長の大きな掌が私の頬を包み込む。
私の顔が固定されると、ずいっと社長が近づいた。
「俺は、お前を売ったりしないし、嫌がることもしない」
「……え?」
「わかった?」
「……ほんと?」
「本当。シャワーでも浴びて少し落ち着け」
「……はい」
「着替え、置いとくから」
「……はい」
脱衣所に押し込まれた私は、茫然として言われるままにシャワーを浴びる。
「あったかい」
温かいお湯なんて久しぶり。
ベッドの上で感じた、お花の香りがする。
社長、私を売ったりしないって言ってた。
それならば、どうして助けてくれたんだろう。
謎ばかりだけれど、久々のお湯に心は少し和んでいた。