強引社長に捕獲されました!?
「……ん、眩しい」
射し込む光が眩しくて、目を開けると隣には社長が眠っていた。
「き、きゃぁぁっ!?」
「ーーっ!?」
「なんでっ……!?」
「っ、うるさいな」
「あ、すみませ」
「悲鳴上げるなって言っただろ」
「でも……」
この状況、普通驚くでしょ!?
同じベッドで、一緒に寝てたってことだよね。
……なにかをしたっていう記憶はないけれども。
「あぁぁっ!!」
「……今度はなに」
「どうしようっ!昨日のバイト、無断欠勤だっ」
「……」
「昨日……」
夢、じゃない……。
目が覚めても、私はここにいる。
「社長……。聞きたいことが」
「……うん、色々あるだろうね」
社長はまだ眠たそうに起き上がると、髪を掻き上げながら、サイドボードの煙草を掴んだ。
シュッと火を着けてから、ゆっくりと白い煙を吐く。
私が反射的に身を屈めていると、不思議そうに手を伸ばしてきた。
ビクリとして首をすくめる。
「なにもしないって言っただろ」
社長は低い声色で囁いて、私の頬を優しく撫でた。
そうしてもう一度煙を吐いてから、淡々と語り出す。
「君は沢木ゆず、二十歳。両親とは死別して現在一人暮らし。事業に失敗した父親が残した借金を返済するために、居酒屋、清掃員、コンビニのアルバイトを掛け持ちする生活。しかし返済が間に合わなくなり、連れ去られそうになった。……間違いない?」
「は……、はい」
私の素性、全部知ってるみたい。
どうして……。
「そこで昨日の夜。残額五千万円、俺が払って借金完済。あの借金取りとも縁が切れたわけだ。おめでとう」
「……えっと」
「嬉しくないの?」
「というよりも……、社長が五千万円を支払う意味がわからないというか」
訝しげな眼差しを向けると、社長は瞳を濁らせた。
「……はっきり言うとビジネスの一つ」
「ビジネス?」
「君自体が俺にとって、五千万円以上の価値があると思ってくれていい」
「えっ!?」
やっぱり私、臓器売買バラバラ事件?
嫌がることはしないって言ったのに、嘘だったんだ……。
「……うっ、うぇ」
「泣くな。お前が想像してるようなことはしないから」
「……でも、俺が買うって言ってた」
「あれは勢いだったんだけど。まぁそうだな、君の時間を買いたい」
「え?」
「俺の側にいて、俺だけを信じてくれ」
「……っ」
顔が、熱い。
二十年生きてきて初めて男の人にズキュンってなった。
こんな言葉、言われたことないもん。
「でも借金返済は俺が勝手にしたことだし、無理強いはしないよ。もちろん請求もしない」
「……なにをするんですか?私、頭悪いし社長のお役に立つようなことはなにも」
そもそも私に五千万円の価値があるとは思えない。
「ただいてくれればいい」
「え……、いるだけでそんな大金」
「君がいれば俺は助かるんだ」
「えぇっ?」
「助けてくれないか?」
「……」
「多少お願いは聞いてもらうけど、もちろん君が嫌がることはしない。約束するよ」
嘘、をついているようにはとても思えない。
詳しい理由はわからないけれど、社長は本当にこんな私を必要としている?
ただいるだけでいいなら……。
ほんとに、それだけで社長が助かるというなら……。
「私なんかに務まりますか?」
「問題ない。むしろ俺は君がいい」
ドキン、と胸が高鳴る。
返事は『イエス』しか思いつかなかった。
「じゃあ、私一度家に帰りますね」
「もうないよ」
「え?」
「アパートは引き払ったし、バイトも全部辞めると伝えてある」
え?
そんな勝手なこと、いつの間に……。
「じゃ私どこに住めばいいんですか!?」
「ここ」
「へ?」
「電気もガスも止められたボロアパートより住み心地良いだろ?」
今まで紳士的だった社長が一変。
見下すように鼻で笑った。
「ウチで飼ってやるよ、子猫ちゃん」
ん?
「君はもう俺のもの」
え?
えぇぇぇーーー!?
射し込む光が眩しくて、目を開けると隣には社長が眠っていた。
「き、きゃぁぁっ!?」
「ーーっ!?」
「なんでっ……!?」
「っ、うるさいな」
「あ、すみませ」
「悲鳴上げるなって言っただろ」
「でも……」
この状況、普通驚くでしょ!?
同じベッドで、一緒に寝てたってことだよね。
……なにかをしたっていう記憶はないけれども。
「あぁぁっ!!」
「……今度はなに」
「どうしようっ!昨日のバイト、無断欠勤だっ」
「……」
「昨日……」
夢、じゃない……。
目が覚めても、私はここにいる。
「社長……。聞きたいことが」
「……うん、色々あるだろうね」
社長はまだ眠たそうに起き上がると、髪を掻き上げながら、サイドボードの煙草を掴んだ。
シュッと火を着けてから、ゆっくりと白い煙を吐く。
私が反射的に身を屈めていると、不思議そうに手を伸ばしてきた。
ビクリとして首をすくめる。
「なにもしないって言っただろ」
社長は低い声色で囁いて、私の頬を優しく撫でた。
そうしてもう一度煙を吐いてから、淡々と語り出す。
「君は沢木ゆず、二十歳。両親とは死別して現在一人暮らし。事業に失敗した父親が残した借金を返済するために、居酒屋、清掃員、コンビニのアルバイトを掛け持ちする生活。しかし返済が間に合わなくなり、連れ去られそうになった。……間違いない?」
「は……、はい」
私の素性、全部知ってるみたい。
どうして……。
「そこで昨日の夜。残額五千万円、俺が払って借金完済。あの借金取りとも縁が切れたわけだ。おめでとう」
「……えっと」
「嬉しくないの?」
「というよりも……、社長が五千万円を支払う意味がわからないというか」
訝しげな眼差しを向けると、社長は瞳を濁らせた。
「……はっきり言うとビジネスの一つ」
「ビジネス?」
「君自体が俺にとって、五千万円以上の価値があると思ってくれていい」
「えっ!?」
やっぱり私、臓器売買バラバラ事件?
嫌がることはしないって言ったのに、嘘だったんだ……。
「……うっ、うぇ」
「泣くな。お前が想像してるようなことはしないから」
「……でも、俺が買うって言ってた」
「あれは勢いだったんだけど。まぁそうだな、君の時間を買いたい」
「え?」
「俺の側にいて、俺だけを信じてくれ」
「……っ」
顔が、熱い。
二十年生きてきて初めて男の人にズキュンってなった。
こんな言葉、言われたことないもん。
「でも借金返済は俺が勝手にしたことだし、無理強いはしないよ。もちろん請求もしない」
「……なにをするんですか?私、頭悪いし社長のお役に立つようなことはなにも」
そもそも私に五千万円の価値があるとは思えない。
「ただいてくれればいい」
「え……、いるだけでそんな大金」
「君がいれば俺は助かるんだ」
「えぇっ?」
「助けてくれないか?」
「……」
「多少お願いは聞いてもらうけど、もちろん君が嫌がることはしない。約束するよ」
嘘、をついているようにはとても思えない。
詳しい理由はわからないけれど、社長は本当にこんな私を必要としている?
ただいるだけでいいなら……。
ほんとに、それだけで社長が助かるというなら……。
「私なんかに務まりますか?」
「問題ない。むしろ俺は君がいい」
ドキン、と胸が高鳴る。
返事は『イエス』しか思いつかなかった。
「じゃあ、私一度家に帰りますね」
「もうないよ」
「え?」
「アパートは引き払ったし、バイトも全部辞めると伝えてある」
え?
そんな勝手なこと、いつの間に……。
「じゃ私どこに住めばいいんですか!?」
「ここ」
「へ?」
「電気もガスも止められたボロアパートより住み心地良いだろ?」
今まで紳士的だった社長が一変。
見下すように鼻で笑った。
「ウチで飼ってやるよ、子猫ちゃん」
ん?
「君はもう俺のもの」
え?
えぇぇぇーーー!?