【短編】君ガ為、闇ヲ討ツ
それを愛と呼ぶのなら
****
私が、あの人を。
あの人を。
「霧氷、様っ……」
自分がしたことであるにも関わらず、涙が溢れてくる。
私が彼を弓の中に封印したのだ。
この神影の地では、殺生は禁じられている。
それなのに、彼は禁忌を犯した。
私の、兄を殺したのだ。
愛したはずの、相手。
愛する相手を、封印した。
もう見えない。
優しい瞳が。
優しい言葉を紡ぐ唇が。
美しい、不思議な色の髪が──。
神影では、殺しをした者は封印する決まりだ。
しかしそれもあくまで建前。
封印だって、彼等の意志と行動の自由を奪う。
ここでの封印は殺しと同義語だ。
どうして、霧氷様。
どうして───。
雪がひらりと舞った。
私が、あの人を。
あの人を。
「霧氷、様っ……」
自分がしたことであるにも関わらず、涙が溢れてくる。
私が彼を弓の中に封印したのだ。
この神影の地では、殺生は禁じられている。
それなのに、彼は禁忌を犯した。
私の、兄を殺したのだ。
愛したはずの、相手。
愛する相手を、封印した。
もう見えない。
優しい瞳が。
優しい言葉を紡ぐ唇が。
美しい、不思議な色の髪が──。
神影では、殺しをした者は封印する決まりだ。
しかしそれもあくまで建前。
封印だって、彼等の意志と行動の自由を奪う。
ここでの封印は殺しと同義語だ。
どうして、霧氷様。
どうして───。
雪がひらりと舞った。