【短編】君ガ為、闇ヲ討ツ
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夜。

浅い眠りにつきかけているとき。

冬の夜の空気は冷たくて、その冷たさが霧氷様を失ったことを思い知らせる。

何だか声が聞こえたような気がして、外へ続く障子の方へ寝返りを打つ。


「…っ、花姫!!」

「月草?どうしたの?」


開けると、月を背に、焦った表情の月草が立っていた。


「竹久が!!」


たけひさ、という名を頭の中で検索する。

確か、神影一族の名簿で見たことのある名前の響きだ。


「竹久様がどうし、」


言いかけ、言葉を失った。


「何ですか、この邪気は……!!」


ただならぬ闇に塗れた気が漂っている、もとい放出されている。

なぜ気づけなかったのだろう。


「竹久が悪鬼と化したのです!もはや守護者の力だけでは及びません!!」

「分かりました、参りましょう!」


なぜ悪鬼と化したのか。


謎が残るが、今は行くしかない。

素早く巫女装束を着て、月草の手を取った。








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