【短編】君ガ為、闇ヲ討ツ
気が遠くなるような、炎の中。
じりじりと魂もろとも吸い取られていく間にも、竹久様が花霞に封じられていくのが分かった。
そして。
「…月草、ごめんなさいっ…」
隣で私を見つめる月草は、目を細めて微笑む。
「言った、でしょう?いつも笑っていて欲しい、と……」
無理矢理に、自分の頬を押し上げる。
「お願い、昔みたいに、月草」
もう姫様でも守護者でもなくなるから。
「愛、してる、花……」
答えられない。
こんな状況でも、私は。
また月草がふっと笑う。
「愛して、くれとは言わない……俺と一緒に、堕ちて、くれ……」
「勿論よ、月草」
彼の声を最後に、目の前が真っ暗になった。