若の瞳が桜に染まる
「なっ…なに?我慢って…。我慢なんてして、なんかないっ…よ!」

「本当?

…私なら心配しなくても平気。
覚悟はできてる」

かっと顔が赤くなる。信じられないくらいに鼓動が速くなっていくのを全身で感じる。

「ちょっ…。
一旦落ち着こう!」

「うん」

日和はいつも通り。落ち着かなければならないのは我久の方だった。

「お、俺たちは結婚してるけど、その…、段階があるだろ?まずは手を繋ぐとか、デートするとか。

最初が結婚っていう、おかしな順番になったけど、日和とは徐々に距離を縮めて関係を築いていきたいと思ってるんだ……、だから…」

動揺を隠すように説得する我久だが、喋れば喋るほど、目の前の日和は首を傾げていった。

「…。

我久は私がここにいても迷惑ではない?」

あ…。
そういう話だったか。

自分だけ変な妄想を繰り広げていたことに深く反省し、肩を落とした。
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