若の瞳が桜に染まる
「…すいません。悪ふざけが過ぎました」

それでも旬は、へへっと笑って布団を敷き直しにかかった。

ピシャリと襖を閉めた。

「どうしたの?」

「どうもしない!」

声をかけられて返事が裏返る我久。
だが今ここで寝室に入れる訳にはいかないと、襖を死守した。

「入っちゃ駄目なの?」

「駄目というか、何と言うか。
あ、日和、髪濡れたままだよ。
乾かさないと!ほら、ドライヤーかけてあげるからあっち行こう」

「ん?…うん」

多少強引でも構わないと、日和を反対方向へ連れていくことに成功した。

…と、日和と旬との混乱を振り返って、また顔を赤くしていた。
いつの間にかパソコンを打つ手も止まり、上の空。
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