若の瞳が桜に染まる
…そういえば、護衛とか言って、今頃屋敷にいる日和の側には旬がついてるんだっけ。

旬で、良かったのか…?

そんな不安が過ったとき、隣から会話が聞こえてきた。

「吉田さん、次の記事なんですけど。
東京の闇に潜むカジノとクスリ、なんてどうです?

さっき取材してたら、とあるビルの地下では夜な夜な違法カジノが開かれていて、クスリの売買も行われているとか。
しかも、噂ではクスリを売ってんのは高校生じゃないかって話です」

なぜか興奮気味に吉田に話す楠井。楠井は都市伝説や闇といったワードが好物だった。

「あー、違法カジノとクスリねー…。

確かに興味を持つ奴は多いだろうが、そういうのって怖い組織がすぐ潰しにかかるから記事にしにくいぞ。

取材の途中でターゲットが消滅したなんてことが今まで何度もあった」

吉田は、おすすめはできないと面倒くさそうに頭を掻きながら言った。
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