若の瞳が桜に染まる
その頃屋敷では穏やかな時間が流れていた。

今日一日、我久から日和の護衛を任された旬。

「じゃあ、何かあったら呼んでください」

朝から、勉強すると部屋に分厚い書籍を持ち込んだ日和を見て、役目が無いことを悟った。

それから数時間、暇を持て余していた。

護衛ね…。
やってることは見張りなんだけどな。

旬は、日和の動向を監視していた。それは今日だけのことに限らず、実は日和の知らないところで会社の行き帰りなども。

外部と接触するなら屋敷を出た時だろうということで、気を張っていたのだが、その緊張が緩んでしまうほど何かが起こる気配がない。
< 124 / 306 >

この作品をシェア

pagetop