若の瞳が桜に染まる
夜、日和が寝静まった後。我久は寝室を抜け出した。

向かったのは、よく旬と蘭と共に情報交換を行う為に使っている部屋。もともとは蘭と幼い頃に基地と呼んで遊んでいた場所。

中に入ると、すでに旬と蘭が待っていた。

「今日会社で、とあるビルの地下で闇カジノと薬の売買が行われてるという話があがった。どこの組織が関わっているかはわからない。ただ、薬の売買に絡んでいる高校生のようなんだ」

「高校生?嫌な時代になりましたね。

じゃあ俺たちは、明日からその辺探ってみますよ」

「我久の会社の奴が仕入れた情報ってことは、そいつはその闇カジノを記事にしようとしてんじゃねーの?
派手な動きはさせるなよ。逃げられたら潰せねー」

「もちろんだ」

「それよりも、俺たちがカジノ潰すことで記事まで潰れるんだから哀れだな」

我久は、その憂き目にあうであろう後輩のことを思い申し訳なくも思った。
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