若の瞳が桜に染まる
「その辺のフォローはするよ…。

ところで旬、日和と一日過ごしてみてどうだった?
旬も、少なからず日和に疑惑を持ってただろ?」

「はぁ?旬は持ってねーだろ!
こいつ旬兄とかふざけた呼ばせ方して、気に入ってたんじゃねーの?」

我久の言葉に一番驚いたのは蘭だった。

「そうやって相手を油断させて本音を探るのが旬のやり口だよ。

どうだった?日和の本音は見えたか?
旬の日和に対する評価は変わらなかったか?」

我久は、何も知らないように見えて、しっかりと一人ひとりのことを見ているのだ。

「…何て言うか、全てさらけ出してるとは思わない。何か隠し事をしてるとは思います」

「隠し事な。
それは私も思った」

そんな意見を、我久は反論も批判もせずに黙って聞いた。
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