若の瞳が桜に染まる
「同棲なんてあり得ないでしょ!

てかずっと思ってたけど正隆、全然不安そうじゃないよね?まさか、ヒヨリンを好きっていうの嘘だったの!?」

「嘘じゃない。
ああいう雰囲気の女性はどストライクだ。

…ただ、もし先輩と付き合ってるんだったら、からかい甲斐のあるカップル誕生ってことで嬉しいかも」

へらっと顔を綻ばせる楠井に、更に怒りが沸き上がる。

「は?
要は正隆はヒヨリンに本気じゃないってこと?

もういい。
私一人でやるから」

こんなふざけた奴と行動を共にしても何も得られないと思った香織は、一人その場を離れ、屋敷の塀から中を窺える場所がないかを探すことにした。
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