若の瞳が桜に染まる
帰り際騒がしいと思ったら、香織と蘭が何やら揉めているようだった。

「あり得ねぇ。きっぱり諦めろよ。図々しいにも程があんだろ」

もちろんあれだけの修羅場を見せられて、香織が我久に好意を寄せていると気が付かない筈もなく…。
蘭は香織を我久から遠ざけたかった。

「あなたには関係無いでしょ。黙っててよ」

プライドの高い香織がそんなものを聞き入れられる訳もなく、真っ向から衝突していた。

「黙ってられっかよ!
日和とは仲良くしたいけど、我久も諦めたくないって都合良すぎだっつってんだよ。
どうせ、男なら誰でもいいんだろ?そんな顔してんもんな」

「どんな顔よ!
あなたこそ、素行の悪さからろくな恋愛してないタイプでしょ?それで天祢さんにコロッといったの?
しょうもない」

「あぁ?」

雰囲気がすこぶる悪い。
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