若の瞳が桜に染まる
「俺なんかにできることですか?行動力とか皆無ですよ…」

「ひねくれてんな。

まぁなんだ。今から頼むのは天祢にしかできないことと言ってもいい。
そして行動力が無いというのなら、俺はその背中を押してやろう!

という訳で、屋上にいるであろう柊日和の所に行ってきてくれないか?」

大袈裟に前ふりをしたあと、こそっと声をひそめて言った本題の頼み事。

まさか日和の名前が出てくるとは思いもしなかった我久は、心臓が跳ね上がった。

「えぇ!?」

大声とともに、ガタンと音をたてて椅子から立ち上がって狼狽えてしまった我久。

その音の大きさにオフィス全員の視線が一気に集中する。
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