若の瞳が桜に染まる
「最悪だ。ついてない…。

もうすぐ10時か。
…今日中に帰るのは無理そうだ」

また一から記事を書き直さなければならない現実に打ちのめされ、今日中に帰るという淡い期待は崩壊した。

それからは無心でキーを打ち続けた。さっき書いていた記事を思い出して、それが記憶から消される前に書き上げようと、必死で、瞬きもろくにせずに。

東京のとある地下鉄の駅におりるエレベーターには、実は停まらない階が作られているとかなんとか。

そんな記事を、こういう地下の秘密があるかもしれないしないかもしれないという文で書いていく。

仕事を終わらせたい一心で、黙々と。
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