若の瞳が桜に染まる
満月の夜、ゲッカビジンの花の香りに幻想的な雰囲気が、我久に勇気をもたらした。

「…いきなりごめん。
許してほしい」

至近距離で見つめあった我久は、日和にも伝わるだろうというくらいに心臓がひどく大きく鳴っていた。

「…怒らないよ」

頬を染めた日和の口元は、わずかに微笑んでいた。
それを見て、我久も自然と笑顔になる。
そしてまた、こつりと額を寄せあった。
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