若の瞳が桜に染まる
その頃下のオフィスでは、男二人が寝静まった横で蘭が睨みをきかせていた。

「ちぇっ、すました顔して」

「なに?何か言った?」

「あんたさ、いいのかよ。我久と日和を二人きりにして。
誕生日に二人きりって、一気に二歩三歩って前進してもおかしくねんじゃねーの?

邪魔しなくていいのか?」

不安をそそのかすようにそんなことを言う蘭。
だが、香織は簡単に笑い飛ばした。

「邪魔?
そんなことしたら私の勝ち目は本当にゼロになるでしょ?
性格の悪いライバルを演じるなんて御免よ。どっかの少女漫画じゃないんだから」

綺麗な声でとんでもない考えを暴露した。

「それ、がちで計算高い女じゃねーか!
やべー奴だよ!」

「あなたが計算できないからって僻まないで」

「あぁ?うっせーよ!」

隣で二人が眠っているのを全く意に介さない声で言い争いは続き、不仲を深めていっていた。
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