若の瞳が桜に染まる
この闇カジノを潰すには、それなりの人員と入念な確認が必要だった。

そこで我久は、仕事を休んで天祢組の仕事に集中していたのである。

今までは一切関わってこなかった天祢組の活動。辰久に現場に出向けと言われて渋々屋敷を出るも、適当な場所で時間を潰すだけだった。
時には旬と蘭を巻き込んで、油を売っていたこともあった。

その変わりぶりに、組員の中には、ようやく若頭としての自覚が芽生えたかと、ほっとする者もいた。

「計画は以上。いよいよ明日の夜だ。
捕まえた数人を先に連れ出してこっちで話を聞く。残った奴は警察に任せる。

警察と手を組むのも今回が最後になると思う。
爺さんは、…組長は適当な因縁つけて手を切るつもりみたいだから。

くれぐれも無茶はしないように。解散」

我久の号令で集まった人々は散っていく。
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