若の瞳が桜に染まる
残ったのは我久と旬と蘭の三人。

「我久さんも今日は早めに休んでください。
最近お嬢とも、まともに会ってないでしょ？」

「さっさと部屋に戻れ。
私らは慣れてるけど、我久にとっては初陣みたいなもんだからな。一番怪我の可能性高いの、絶対に我久だろ」

事実をつかれて、何も言い返せなかった。

闇カジノを潰すというのは、正義のように思える行為かもしれないけど、俺たちの組織がそもそも正義とはかけ離れた存在だ。

旬の言ったように、日和と最近会えていない。会って、自分がしようとしていることを上手く話せる自信が無かったからだ。

こんなの、胸を張って言えることじゃない…。

でも明日は、屋敷に俺たち三人がいなくなる。
代わりにと言っていいのかはわからないが、常に爺さんが屋敷にいることになる。

そんな状態になるのに、何も伝えない訳にはいかない。
誤魔化すのも無しだ。

日和がどう思うのか、不安を抱えながら我久は襖を開けた。
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