若の瞳が桜に染まる
その日、いつもより帰りが遅くなった我久は、屋敷までの距離を急いだ。

日和のことももちろんだが、帰り際に旬からの連絡が原因だった。

「都内に構える事務所二ヶ所を、茶島会に襲われました。爆弾です。

この間の闇カジノを潰された腹いせ、なんでしょうか」

そんな険悪な情報に我久は眉をひそめていた。

いよいよ抗争が始まってもおかしくない状況。
回りくどいことが嫌いな爺さんのことだ。この際、警察も茶島会もまとめて壊滅に追い込もうとするかもしれない。

そんなことになる前に、何とかしなければならない。
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