若の瞳が桜に染まる
聞いてくれると判断した我久は、距離を詰めずにその場に座った。

「蘭も、俺と日和との仲を引き裂くつもりでやったんじゃないだろうし、これ以上は何もないように思えたから、俺も気にしないでおこって思ってたんだけど…。

そういう問題じゃないよな、ごめん」

「蘭さんは、なんで…」

「けじめとか、覚悟とか…。そういう物だったんじゃないかと俺は思ってる」

「けじめ…?

蘭さんは、我久を好きだったってこと…?

だとしたら蘭さんはずっと…」

そこは、我久も確信が持てている訳ではなかった。
長い間一緒に過ごしてきて、蘭からそんな感情を感じたことは一度もなかったのだから。
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