若の瞳が桜に染まる
「我久…」

「…はい」

「私も我久に話さなきゃいけないことがある」

「ん?」

それは予想外の展開だった。

話さなきゃいけないことって…。自分がその立場になると、何を言われるのか凄く怖いということを思い知った。

だが、日和は日和でどうやら話すのを躊躇っているようだった。

「無理に話さなくても…」

「…ううん。
聞いて欲しい。

我久にはちゃんと、…私の過去のことを知ってほしい…」

過去。
誰も知らない日和の過去。
旬や蘭が疑っている、日和の隠し事。

初めて、本当に日和が我久に心を開こうとしていた。
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