若の瞳が桜に染まる
「…あの……?」

「ごめん、何でもない。気にしないで。

それで、えっと、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。
例えばの話で、女性の誕生日に花をプレゼントするとしたら、何かおすすめのものって思い付く?」

「女性…、誕生日…。

この時期だと、チューリップ…あと、シャクヤクも喜ばれるのかな…」

「シャクヤクって?」

イメージ出来なかった我久が尋ねると、日和は黙って歩き出した。そして、ひとつの花壇の前で立ち止まり、座った。

「これ」

日和が指差したのは、赤くて丸みをおびたボリュームのある見た目の花。まさに、花束やブーケに相応しい豪華さだ。
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