若の瞳が桜に染まる

反射的に振り向くと、オフィスに入ってきた日和が見えた。
相変わらず、我久の方を見て目を合わせるなんてことはないが、我久としては、日和が楽しそうに働いているのを見られて何よりだった。

だが、我久はキラリと目を光らせた。
日和の隣で何故か楠井が笑顔でいる。というか、二人は喋っていた。
始めてみるこのツーショットに疑問が浮かぶ。

ただ軽く話していた程度だったようで、楠井はすぐにこちらに戻って来た。そこにさりげなく声をかけて捕獲する我久。

「楠井ってフレンドリーだな。
スカイリーの記者とも仲良いの？さっき日和と話してたの見えたんだ」

「あ！日和って呼んでるってことは、先輩も喋ったことあるんですね！
仲良いっていうか、同期ですし。それなりに喋るってだけですよ。
俺も植物好きなんで、さっきはそのことについて話してました。

何か気になることでも？」