若の瞳が桜に染まる
「ヒヨリーン、打ち合わせでお客さん来てるよ…って、何してるの…?」

突然の声に我久の体は、瞬時に日和から離れ固まった。社員の誰一人としても、真実に近づかれてはいけないというのに、二人、こんなに至近距離にいる所を目撃されてしまったのだ。

「あ、香織さん。そうだ、お客さん来るんだった。

我久、またね」

同期に見られたことや、固まっている我久を何とも思っていないようで、日和はそのまま中へと去って行った。
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