私とあの子
「で、なんて答えたの?光ちゃんは?」
眉間のしわを寄せて分からなそうに鈴木さんは聞いた
「なんも答えませんでした」
「そっかあ....よしっと、これで終わり!診察まであと時間あるから着替えとご飯を済ませといてね。」
「でも.....
人形かもしれませんね、私は」
外を見つめながら静かに言った
いや、鈴木さんにではなくきっと自分自身に言っていたのだろう
「人形じゃないよ。光ちゃんは」
その時、初めて鈴木さんと目が合った
「光ちゃんは悲しい、とか嬉しい、とかあるでしょう?感情がある限り、人間は人形になんてなれないよ。」
優しく微笑みながら鈴木さんはそう言って病室を出た
静まり返る病室で、
枕の隣にいる人形を私は抱きしめた。