クジ引き
むせ返りそうな血液の臭いが充満しているが、窓を開けるわけにはいかない。


あたしは一度シャワーでケンイチの血を流すと、再び作業に取り掛かった。


次は両足だ。


ケンイチは足にも筋肉がしっかりと付いていて、ノコギリの刃がなかなか進まない。


足の骨は腕よりも太いため、さっきの何倍もの時間を費やしてしまった。


「足だけでこんなに重たいなんて……」


あたしは切断した右足を両手に抱えてそう言った。


切断面が下にあるだめ、ボタボタと大量の血が落ちていく。


このままじゃ朝までに終わるかどうかもわからない。


男1人を切り刻むという作業がここまで大変だとは思わなかった。


「だから一か月の猶予があるんだ」


あたしはサイトに表示されていた日付を思い出してそう呟いた。


あの画像のように一日一カ所ずつ切って行くだけながらそれほど時間はかからない。


もしかしたらあれはあたしに切断の方法も教えていたのかもしれない。


相手が朝日なら、あたしが順番に体を切断して行っても決して声を出さないだろう。


どんな拷問を受けても黙っているように洗脳されていることは確かだ。
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