クジ引き
思考回路は完全に停止してしまい、頭の中は真っ白だ。


体中に汗が噴き出しているのがわかった。


「でも、この鉄臭い臭いはなに？」


そう言われて、あたしは浴槽内にたまった血を見た。


これだけ大量に流れていれば脱衣所まで匂っていても不思議じゃない。


「彩花、開けるよ？」


「だめっ！！」


あたしが言うより早く朝日はドアを開けていた。


「なんでシャワーカーテンなんて……」


そう言いながらカーテンをずらす。


あぁ……もう終わりだ。


朝日と目が合った瞬間あたしは涙が浮かんできた。


何もかも１人でやるつもりだったのに、朝日に見られてしまった。


朝日は目の前の惨劇に目を見開き口元に手を当てた。


顔色はサッと青ざめて小刻みに震えている。


「彩花、これは一体……？」


こうなってしまえば、もう嘘はつきとおせない。
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