クジ引き
「はい、冷たい紅茶にしたよ」


朝日がグラスを手に戻って来る。


「ありがとう」


そう言ってひと口飲むと、体が潤うのを感じる。


そういえばロクに水分補給もしていなかった。


紅茶を一気に飲み干すと朝日がほほ笑んだ。


「もう一回作ってくるから」


そう言ってグラスを手に立ち上がる。


「ありがとう」


そう返事をしてから、あたしは朝日の腕を掴んだ。


「なに?」


「朝日……朝日は人殺しなの?」


「え……?」


あたしの質問に朝日は混乱したような表情を浮かべた。


「なに言って……?」


「何年か前の殺人事件の犯人。加瀬勇太って言う人に朝日はそっくりなの」


あたしはジッと朝日を見つめてそう言った。


朝日は視線を空中に泳がせて「わからない……」と、小さな声で返事をした。
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