クジ引き
「誰だかわからないくらいに顔を潰したんだ。だからきっと大丈夫」


そう言われ、あたしはケンイチの顔が潰れていく様子を思い出していた。


鼻も目も口もなくなり、骨が折れて陥没した顔。


真っ赤に染まったその顔はもはや誰の物でもなかった。


「そうだよね。大丈夫だよね?」


あたしは自分を安心させるために朝日にそう聞いた。


朝日は何度も頷く。


「あぁ。大丈夫だ」


朝日にそう言ってもらうことで、あたしはようやく安心して裏口を閉める事ができたのだった。
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