クジ引き
男性
発泡スチロールを引っ張り出して中を覗き込むと、ガムテープで口を塞がれている男性と目が合った。


一瞬、何かの間違いかと思い自分の目をこする。


もう一度確認してみても、その光景は変わらなかった。


送られてきた段ボールの中には、成人男性が詰め込まれていたのだ。


「なんで……?」


悲鳴を上げる事すら忘れて、あたしは呟く。


送り先の名前と住所を確認してみても、間違いなくここの住所とあたしの名前が書かれている。


よくやく恐怖が体の底から這いあがってきて、あたしは一気に後ずさりをした。


「い……」


悲鳴を上げる寸前、箱の中の男性が立ち上がり懸命に左右に首を振った。


その光景に喉まで出かかっていた悲鳴が音をなくし、空気となって出て来た。


悲鳴を止めたわけではない。


恐ろしすぎて声が出なかったのだ。


男性は両手を後ろで拘束され、ひどく顔色が悪い。
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