クジ引き
どうして。


なんで。


そんな疑問と恐怖しか浮かんでこない。


男性はそんなあたしは見て瞬きを繰り返したが、疲れ切ったようにその場に倒れてしまった。


「だ、大丈夫ですか……?」


恐怖を押し殺し、声をかける。


しかし男性は口を塞がれているため返事ができない。


どうしよう?


警察に通報する?


あたしはジリジリと男性から遠ざかり、リビングに置いているスマホを視界に入れる。


その時だった、男性が首だけ動かしあたしを見た。


その目は真っ赤に充血していて、今にも血が流れ出そうだった。


「ひっ!」


ギョロリと見開かれた目は何かを言いたそうで、あたしはその場から動けなくなってしまった。


しばらくあたしを睨みつけていた男性は徐々に目を細めていき、そして完全に目を閉じたのだった……。
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