クジ引き
「あ、そっか。この人に聞けばどうしてこんな事になったのかわかるんだ」


あたしは男の隣に座り込み、そう考えた。


しかし男は眠ったままだ。


玄関先から移動させようにも、安易ではない。


とにかく男を段ボールの中から引っ張り出すだけでやっとだった。


段ボールの中をくまなく確認してみると、発泡スチロールの下から大きなノコギリが出てきて一瞬悲鳴をあげてしまった。


これで男の体をバラバラにしろってこと?


手に取ってみるとそれはずっしりと重たくて、一瞬にして青ざめた。


こんなもので人間をバラバラにするなんてできるわけがない!!


やっぱり、警察に連絡を……!


そう思ったときだった。


今まで目を閉じていた男がうっすらと目を開けたのだ。


「大丈夫!?」


あたしは慌てて男にかけより、口を塞いでいるガムテープをはがした。


男は口で大きく呼吸を繰り返し、あたしを見た。


「あなたは誰? なんでこんな事になったの?」


そう聞くと男は戸惑った表情を浮かべ、左右に首を振った。


「覚えてないの?」


「あぁ……」


男はかすれた声でそう答えた。
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