クジ引き
確認
朝日は自分の運命を知っている。


朝ご飯を一緒に食べながらあたしはそう感じていた。


逃げようともしないし、あたしに攻撃をしかけようともしない。


ただ黙ってあたしに切り刻まれる瞬間を待っているように感じられた。


「今日も、何も思い出さない？」


そう聞くと、朝日は「あぁ」と、頷いた。


これが本当の答えなのか、それともそう返事をしろと言われているのかわからない。


けど、朝日を脅かしているものがどこかにあるのだと言う事だけは、理解していた。


あたしは廊下へ出て昨日から出しっぱなしになっている段ボールを片付け始めた。


中に入っている発泡スチロールを抜き、ゴミ袋へと詰めていく。


すると、食事を終えた朝日がやってきた。


朝日は廊下に置かれているのこぎりをジッと見つめている。


あたしはハッとしてそのノコギリと付属されていたゴミ袋を下駄箱の中にしまった。


「あはは。物騒だよねぇ」


そう言い、ぎこちなくほほ笑む。


「いいよ。俺の事バラバラにしても」


朝日が呟くようにそう言った。
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