クジ引き
万が一あたしも同じような事になってしまえば、自分の名前さえ思い出す事もできないまま誰かの手で殺されてしまうかもしれないのだ。


あたしは込み上げて来る涙をグッと押し込んだ。


「あたし、少しだけ出かけて来るから。朝日はこの家から出ないで待ってて」


あたしはそう言うと、財布とスマホをポケットにねじ込んで家を出たのだった。
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